Columnコラム

運動処方 Exercise prescription

運動処方とは

健康づくりのための運動について運動の内容を決定することです。薬を処方するように運動の量、質、種類などを処方します。

①有酸素運動

WHOからは

・中等度(少し息が上がる、会話は可能レベル)であれば150分/週以上

・高強度(息が上がる、会話は可能レベル)であれば75分/週以上

が推奨されています。WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour

最近はランニングウォッチをつけて走る方もいるので、心拍数の目安として中等度で120-140回/分程度と伝えることがあります。目標心拍数設定(%HRmax)などの計算式もあるにはありますが…外来で計算してる時間もないですし、大雑把にお伝えしています。また、ランニングウォッチをつけてるような方に関しては、運動処方は不要な事がほとんどですね(;^ω^)

②筋力トレーニング

・2回/週以上

・8-12回程度連続して実施可能なもの(できれば週5セット以上)

・多関節、単関節、体幹トレーニングなど

が推奨されています。

基本的には筋肥大や筋力をつけたければ、数回しか実施できない筋トレを推奨し、筋持久力をつけたければ数十回できる筋トレを推奨するようにしています。

③ストレッチ

・2-3日/週以上

・10-30秒程度

・静的ストレッチ、動的ストレッチ(Balistic,Dynamic)

ストレッチと言っても、いくつか種類がありますが、例えば、ラジオ体操は動的ストレッチの要素が多い代表的なものです。ほかには運動前に静的ストレッチを用いると、可動域が拡大することで一時的な筋力低下が生じることも言われています。最近はそういうこともあり、運動前には動的ストレッチを用いることが多く、運動後やリラックスするときは静的ストレッチを行うことも多くなっています。

実際の外来での運動処方

限られた外来時間の中なので、①-③を理解しながら、Frequency(頻度),Intensity(強度),Time(時間),Type(種類)を確認し、提案していきます。

これを頭文字をとってFITTと言います。

例えば、『週2回ぐらい、プールで30分ぐらい泳いでます』と言われれば、

F:週2回

I:中強度

T:1回30分

T:水泳

となるわけです。

これをまず問診しておくことが大切でカルテ上に残しておくだけで、次の外来で『水泳続けられてますか?』などの話題の一つとして取り上げたり、何をどう増やしていくのか相談していくこともできます。

まったく運動習慣のない人には、生活の中でどのように運動を取り入れていけるのかを相談し、FITTに当てはめて提案していくのも一つの方法です。次の外来でも、その提案した運動について確認し、何が障壁で実施できなかったのか(時間がない?モチベーション?環境?)を確認しながら処方を続けることが大切だと思います。

実際的な問題

もちろん週2-3回運動ができれば理想的ですが、まずは0を1にすること。そしてそれを継続することはとても困難です。我々、医療者は忘れがちになってしまいますが、運動には娯楽性が何よりも重要です。庭をいじる、仲間とゴルフを楽しむ、地域のボランティアに参加するなど、本人の趣味・嗜好に沿いながら、本人から自発的に出る『これならやりたいかも!できるかも!』をアシストしてあげることが重要だと考えています。

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