鼻骨骨折で顔面CTを撮るべきタイミング
記載者:上村公介
鼻骨骨折の初期対応は、多くの場合レントゲンや診察だけで十分に対応できます。ただ、次のようなサインがあるときはCTを検討します。
CTを考えるサイン
・物が二重に見える、目が動かしにくい、視力が落ちた → 眼窩の骨折や眼球損傷の疑い
・頬骨や上顎、目の周りの骨に圧痛がある、噛み合わせがおかしい、歯が抜けた → 顔面の他の骨折の疑い
・過去に鼻骨骨折や鼻の手術歴がある、他の骨折も合併している → レントゲンとCTの結果がずれやすいので要注意
・強い勢いで鼻の正面(鼻根部)にぶつかった → 骨折が広範囲に及んでいる可能性
・鼻の中に血腫がある → 放置すると変形につながるためCTで確認することも
横からの打撲では、目の内側の壁(blow-out骨折)も一緒に起きやすいとの報告もあります。
逆にこうした所見がなく、単純な鼻骨骨折だけなら、レントゲンやCTをルーチンで撮らなくてよいという考え方(no x-ray policy)もあります。単純X線は見落としも多く(検出率53〜82%程度)、そもそも治療方針を変えないことが多いためです。
コメント
以前、鼻の正面の打撲で、普段よりやや骨の砕け方が強い鼻骨骨折で、目の動き自体は問題なくても眼球運動で痛みがある症例でCTを撮ったところ、眼窩底骨折が見つかったことがあります。受傷機転や普段の画像所見との違いによる違和感などから、少し疑いを上げてCTに進むことが、見逃しを防ぐポイントだと思います。
参考
1. ACR Appropriateness Criteria. Imaging of Facial Trauma Following Primary Survey. JACR. 2022.
2. Kim D, et al. Facial Trauma Affects the Radiological Diagnosis of Nasal Bone Fractures. J Craniofac Surg. 2024.
3. Kim TG, et al. Relationship Between Nasal Fracture and Blowout Fracture. J Oral Maxillofac Surg. 2019.
4. Westfall E, et al. Nasal Bone Fractures and the Use of Radiographic Imaging. Am J Otolaryngol. 2019.

